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中川温泉ができるまで

[2013年8月26日]

ID:236

「傷に効く」名湯 中川温泉

 中川温泉は丹沢山地の西部にあり、「水と緑」に囲まれた静かな温泉場です。古くから「武田信玄公隠し湯」として知られ、信玄が傷兵に湯あみをさせたと伝えられる名湯です。

中川温泉の生い立ち

 丹沢山地の周辺には活断層や割れ目がたくさんあるといわれるのも、丹沢の山々が激しい地殻変動によって形成されたことを考えれば当然ともいえます。中川温泉は、丹沢山地の地下深くに貫入したマグマが冷却して形成された(石英閃緑岩)と、地殻変動により岩石に生じた割れ目とたいへん深い関係にあります。

 中川温泉の特徴について、少し詳しく調べてみましょう。

中川温泉の熱源は、石英閃緑岩

 中川温泉の第1の特徴は温泉の熱源が2000万年前に割れ目に沿って上昇してきたマグマ(石英閃緑岩)の余熱であるということです。丹沢山地ができたころは、いたるところですごい勢いで高温の温泉を噴出していました。岩石の割れ目に温泉の成分の名残である沸石がいっぱい付着している岩肌をみることによって、その当時の様子を想い起こすことができます。その後、マグマは長い年月を経て冷却しました。
 ここに県の温泉地学研究所が調査した「地中温度図」があります。図によると、山側に向かうほど、即ち石英閃緑岩に近づくほど地中温度が高くなっています。垂直的にみると深さ100mまでの地温上昇は約10℃と高くなっていますが、それより深くなると100mで2~3℃と小さくなっています。このことと、中川温泉が溶存物質をあまり含まないなどの特徴から、天水の循環の及ぶ深度(およそ100m程度)になると、水によって運ばれ、中川温泉を形成しているものと考えられています。

温泉 神奈川県 山北町 西丹沢 名湯 中川温泉のできるまで
温泉 神奈川県 山北町 西丹沢 名湯 中川温泉のできるまで

狭い範囲の割れ目に沿った温泉の分布

温泉 神奈川県 山北町 西丹沢 名湯 中川温泉のできるまで

 中川温泉の第2の特徴は、温泉の分布が岩石の割れ目に関係しているということです。
 右上の図は、中川温泉の地下における温度分布の様子を水平方向に輪切りにしたものです。図によると、温泉法における温度の定義が25℃以上であることを考えると、中川地域における温泉帯の広がりは、1km×500m程度の狭い範囲であることがわかります。
 また、こうした温度分布の様子は、この地域の岩盤中に北東-南西方向の割れ目が卓越していることを想像させます。

 現在利用されている温泉のエネルギーは約10平方キロメートル程度の狭い範囲から供給されていると見積もられています。

温泉 神奈川県 山北町 西丹沢 名湯 中川温泉のできるまで

アルカリ性の強い温泉

 中川温泉の第3の特徴はアルカリ性が強く、pHが10以上にもなるということです。高いpHの泉質の起源については丹沢山地を構成する岩石中に含まれる鉱物の溶解によるものだということが明らかにされています。岩石の割れ目に付着している沸石は、この反応の最終的な産物なのです。

 中川温泉はアルカリ性が強いため、皮膚の表面を軟化させ、皮膚の脂肪や分泌物を洗い流すので「お肌もつるつる」、傷に効くだけでなく「美人の湯」ともいえます。

まとめ

 中川温泉は2000万年前に丹沢山地の中央に貫入したマグマ(石英閃緑岩)の熱エネルギーに依存しています。その温泉活動の規模は幅500m、長さ1kmと狭く、また、温泉の熱源も10km2の小範囲から供給されているなど、温泉活動としては小規模といえます。

 このような温泉活動規模から考えると、新たに源泉を開発することには既存源泉の湧出量を減少させるだけでなく、冷地下水の混入を増大させ、温泉の温度・温泉成分の低下など枯渇現象を早めることになります。

 貴重な温泉資源を後世に伝えていくためには、私たちが自然に学び「自然の限界」を認識し、保護していくことが大切です。同時に、みんなが共存共栄できる条件づくりや将来のことについて話し合い、みんなで力をあわせて具体化していくことが大切ではないでしょうか。

資料提供:神奈川県足柄保健所、小田原保健所、神奈川県温泉地学研究所

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