○山北町環境基本条例

平成15年3月17日

条例第1号

目次

前文

第1章 総則(第1条~第6条)

第2章 基本的施策(第7条・第8条)

第3章 施策推進のための方策(第9条~第18条)

第4章 環境審議会(第19条)

附則

前文

私たちのまち山北は、町域面積の約9割が丹沢大山国定公園や県立自然公園などを含む丹沢山塊の森林原野で占められる山岳地帯となっており、町の中央には神奈川県民の水源である三保ダムがあり、また、町内の「洒水の滝」や「箒杉」などが全国百選に認定されるなど、豊かな森林に恵まれた水源の町として、美しい自然景観や環境を大切にしてきた。

しかしながら、社会経済活動の拡大や生活様式の変化などに伴い、廃棄物の増大やゴミの不法投棄、生活排水による河川の水質汚濁、エネルギーの大量消費など私たちに密接に関係する環境問題が、地域ひいては地球規模にまで影響を及ぼすことが懸念されている。

私たちは、良好な環境の下で安全で健康かつ文化的な生活を享受する権利を有するとともに、かけがえのない恵み豊かな環境を守り育て、これを将来の世代へ引き継いでいく責務を担っている。

このような認識のもと、町、事業者及び町民等すべての者が協働して恵み豊かな環境の保全及び創造を図り、人と自然が共に生きるまちづくり、そして環境への負荷の少ない持続的に発展することが可能なまち山北をめざして、ここに、山北町環境基本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造についての施策の基本的事項を定めるとともに総合的かつ計画的に推進することにより、現在及び将来の町民等の健康で安全かつ快適な生活に寄与し、水源地域にふさわしい環境整備と暮らしの実現に貢献することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 「地球環境保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、生物の多様性の喪失その他地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに、町民の健康で安全かつ文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 「環境の保全及び創造」とは、公害の防止や自然の確保に止まらず、環境にやさしい快適な生活空間を作り出すことをいう。

(4) 「新エネルギー」とは、太陽・風力エネルギーなどの「自然エネルギー」、ごみ焼却熱などの「リサイクルエネルギー」、クリーンエネルギー自動車などの「エネルギーの新利用形態」をいう。

(5) 「事業者」とは、町内で事業活動を行うすべての者をいう。

(6) 「町民等」とは、神奈川県足柄上郡山北町内に居住又は滞在する者(通過する者を含む。)をいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、すべての町民等が健康で安全かつ快適な生活を営む上で必要とする良好な環境を確保するとともに、将来の世代へ継承していくことを目的として行うものとする。

2 環境の保全及び創造は、地域の自然的社会的条件に配慮しつつ、人と自然との共生を目的として行うものとする。

3 町、事業者及び町民等は、環境への負荷が少なく、持続的に発展することができる社会の実現をめざして、エネルギーの合理的な利用、資源の循環的利用その他環境保全等に関する行動について、それぞれの役割に応じた責務を果たすため積極的に取り組むものとする。

4 地球環境保全は、人類共通の課題であることから、町、事業者及び町民等が自らの問題として認識し、それぞれの日常生活及び事業活動等において、積極的に推進するものとする。

(町の責務)

第4条 町は、前条に定める環境の保全及び創造についての基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、事業者及び町民等の意見を尊重して環境の保全及び創造に関する総合的な施策を策定し、実施するものとする。

2 町は、町の施策を実施するに当たっては、環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に努めるものとする。

3 町は、広域的な取組を必要とする環境の保全及び創造に関する施策を実施するに当たっては、国及び地方公共団体との連携及び協力に努めるものとする。

4 町は、環境の保全及び創造に関し、事業者及び町民等への意識啓発に努めるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念に基づき、その事業活動に伴って生じる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するため環境に配慮されたものとなるよう自らの責任において必要な措置を講じるものとする。

2 事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たっては、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合に、その適正な処理が図られるよう必要な措置を講じるものとする。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策及び活動に協力するものとする。

(町民等の責務)

第6条 町民等は、基本理念に基づき、日常生活において、公害の防止その他自然環境の適正な保全に努めるものとする。

2 町民等は、日常生活に伴う廃棄物発生の抑制、再利用による環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に自ら積極的に努めるとともに、町が実施する環境の保全及び創造に関する施策及び活動に協力するものとする。

第2章 基本的施策

(施策の基本方針)

第7条 町は基本理念の実現を図るため、次に掲げる事項を基本とし、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 健康で安全な生活環境の保全 人の健康又は生活環境を保全するため、公害防止等に努めるとともに、地域の環境美化等を推進する。

(2) 自然環境の保全 豊かな森林や生態系の保護に努めるとともに水源地域としての自然環境を保全する。

(3) 人と自然が共生したまちづくりの推進 水とみどりを生かした都市基盤の整備、美しい景観の保持、歴史的文化遺産の保全を図る。

(4) 資源の循環的利用の促進 エネルギーの有効利用や資源の循環的な利用、廃棄物の減量等を促進する。

(5) 新エネルギーの導入促進 太陽エネルギー等の自然エネルギーをはじめとした新エネルギーの導入を促進する。

(環境基本計画)

第8条 町長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進していくとともに、山北町総合計画の目指す町の将来像の実現を図るため、環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を策定するものとする。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する長期的目標及び施策の方向

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 町長は、環境基本計画を定めようとするときは、あらかじめ事業者及び町民等の意見を反映するための必要な措置を講じるとともに、山北町環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 町長は、環境基本計画を定めたときは、速やかに、これを公表するものとする。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

第3章 施策推進のための方策

(施策の策定等に当たっての配慮)

第9条 町は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るとともに、環境の保全及び創造について配慮するものとする。

(公共施設の整備等)

第10条 町は、公園、緑地その他の環境の保全及び創造を図るための施設の整備並びに環境の保全及び創造に役立つ事業を推進するため、必要な措置を講じるものとする。

2 町は、公共施設の建設及び維持管理に当たっては、資源・エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量化が促進されるよう、必要な措置を講じるものとする。

(水環境の保全及び創造)

第11条 町は、良好な水環境の保全及び創造を図るため、水環境の保全及び水辺の快適空間の整備を図り、森林と清流を大切にするまちづくりを推進するものとする。

(教育及び学習の推進)

第12条 町は、事業者及び町民等が環境の保全及び創造について理解を深めるとともに、自主的な活動を行う意欲が増進されるよう関係機関と協力して環境の保全及び創造に関する教育及び学習の機会の提供並びに広報活動の充実に努めるものとする。

(町民等の自発的な活動の促進)

第13条 町は、事業者及び町民等が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創造に関する活動が促進されるよう必要な措置を講じるものとする。

(情報の提供)

第14条 町は、環境の状況その他の環境の保全及び創造に関する情報を適切に提供するよう努めるものとする。

(町民等の意見の反映)

第15条 町は、環境の保全及び創造に関する施策に、事業者及び町民等の意見を反映させる措置を講じるものとする。

(指導及び助言)

第16条 町は、環境の保全及び創造のために必要があると認めるときは、事業者及び町民等に対し指導及び助言並びに協定等の締結を行うことができるものとする。

(規制の措置)

第17条 町は、環境の保全上の支障を防止する必要があると認めるときは、その支障を防止するために必要な規制の措置又は誘導の措置を講じるよう努めるものとする。

(財政上の措置)

第18条 町は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため必要な財政上の措置を講じるよう努めるものとする。

第4章 環境審議会

(環境審議会)

第19条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、環境の保全及び創造に関する基本的事項等を調査審議するため、山北町環境審議会(以下「審議会」という。)を置くものとする。

2 審議会は、町長の諮問に応じて、次に掲げる事項について審議するものとする。

(1) 環境基本計画の策定及び変更に関すること。

(2) 他の条例の規定によりその権限に属せられた事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する重要事項

3 審議会は10人以内をもって組織する。

4 前項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

この条例は、平成15年4月1日から施行する。

山北町環境基本条例

平成15年3月17日 条例第1号

(平成15年4月1日施行)